血圧
心臓は収縮と拡張を繰り返し、体中に血液を送るポンプの働きをしています。心臓が収縮して血液を押し出すときの圧力が収縮期血圧(最大血圧)、心臓が拡張して血液が心臓に戻るときの圧力が拡張期血圧(最小血圧)です。
『高血圧』 | :収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上 |
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『正常高値血圧』 | :収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上 |
高血圧
高血圧の状態が続くと動脈硬化を招きやすく、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす要因になります。
《生活習慣のポイント》
- 減塩を心がける。
- 野菜、果物、魚を積極的に摂る。
- 標準体重[身長(m)× 身長(m)× 22]を維持する。
- ウォーキングなど適度な運動を心がける。
- お酒は適量を守る(アルコール性肝障害 生活習慣のポイント参照)。
- 禁煙する。
家庭血圧を測りましょう
血圧は食事や運動、感情の起伏、気温などによって常に変化します。自分の健康状態を把握するためにも、日ごろから血圧を測定しましょう。家庭血圧の目安は収縮期血圧135mmHg未満、または拡張期血圧85mmHg未満です。
血圧の測り方
- 静かな場所で、椅子にゆったり座り、肘は心臓の高さにあわせます。
- 排尿はすませ、測定5分前は安静にします。
- 食事・運動・入浴・喫煙のあとは30分ほど経過してから測ります。
眼底
瞳孔を通して目の奥に(眼底)に光を当て、視神経や網膜の動脈、静脈を観察します。眼底は、体内で唯一血管の状態を観察できる場所です。高血圧(高張性変化)や動脈硬化(硬化性変化)の進行度(0~4の分類)、糖尿病による血管の変化の有無などを調べます。
心電図
心臓の筋肉は、収縮・拡張するときにわずかな電気を発生します。この電気の流れを波形に記録したものが心電図です(左図)。不整脈、心肥大、冠動脈の状態など、心臓の異常の有無を調べます。
P波 :心房の収縮を表す
QRS波:心室の収縮を表す
T波 :心室の収縮の回復を表す
心電図検査 結果の解説
洞徐脈・洞頻脈・洞不整脈
洞徐脈と洞頻脈は、いずれも心拍数の異常を示す用語で、洞徐脈は1分間に60回未満の場合、洞頻脈は1分間に100回以上の場合を示します。洞不整脈は心拍と心拍の間隔が少し不規則な状態を示します。
時計軸回転・反時計軸回転
心臓を下からみた場合の向きを示す用語で、いずれも問題ありません。
左軸偏位・右軸偏位・不定軸・極端な軸偏位
心臓を流れる電気信号の大まかな方向を示す用語です。単独では問題ありません。
ST-T異常・ST異常・T波異常
波形のST部分やT波の異常です。心臓に酸素と栄養を送る冠動脈の血流が不足している状態や心肥大など、心室の異常が疑われます。
房室ブロック・右脚ブロック・左脚ブロック・ヘミブロック・心室内伝導障害
ブロックとは、心臓を流れる電気信号の伝導が障害された状態です。障害された部位により、房室ブロック(心房から心室への障害)、右脚ブロック(心室内の右脚の障害)、左脚ブロック(心室内の左脚の障害)、ヘミブロック(心室内の左脚は前後に分かれますが、そのうち一方の障害)、心室内伝導障害(これらに当てはまらない障害)に分類します。ブロックはその程度により、第1~3度や完全・不完全などに分類されます。
左室肥大・右室肥大・左房肥大・右房肥大
肥大(≒高電位)は心臓に負担がかかることで起こります。右側の肥大は肺疾患など、左側は高血圧などによって起こります。
R波増高不良
左室肥大や回復後の心筋梗塞のこともありますが、健康な人にもしばしばみられます。
期外収縮
通常の規則的なリズムよりも速いタイミングで心臓が収縮することです。頻発する場合などは、精密検査が必要です。
P波異常
P波は心房の電気信号を示します。正常な調律ではない場合や、心房に負荷がかかっている場合に異常を示します。
PQ短縮
心房から心室へ刺激の伝わる時間が通常より短い状態です。症状がなければ心配ありませんが、発作的に動悸を感じる場合には、循環器科を受診してください。
QTc延長
心臓の電気的興奮時間が延長している状態です。多くは心配ありませんが、失神発作がある場合や突然死した近親者がいる場合には、循環器科を受診してください。
異常Q波、境界域Q波、q波 Ⅲ・aVf
心筋梗塞・心筋症などの疾患のほか、健康な人にもこの所見がみられることがあります。
WPW症候群
電気信号が心房から心室へ、通常と違ったルートで速く伝わることで起こる不整脈です。多くは心配ありませんが、頻脈性不整脈(極端に脈が速くなる)がある場合には、循環器科を受診してください。
低電位差
電位が低くなっている(心電図の波の高さが低い)状態で、多くは問題ありません。
ブルガダ型心電図
場合によって重大な不整脈と関係することがあります。失神発作がある場合や突然死した近親者がいる場合には、循環器科を受診してください。
《心疾患予防の生活習慣のポイント》
心疾患の原因として、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)や喫煙・ストレスなどがあります。心疾患予防のために生活習慣を見直しましょう。
- 禁煙する。
- 肥満を予防・改善する。
- バランスの良い食事をする(規則正しく、腹八分目で)。
- 動物性脂肪や甘いもの、塩分のとりすぎに注意する。
- お酒は適量を守る(アルコール性肝障害 生活習慣のポイント参照)。
- ウォーキングなど適度な運動を心がける。
※短時間での心電図検査では自覚症状があっても異常が認められない場合があります。胸痛、動悸、労作時の呼吸困難、失神などの症状がある場合は循環器科の受診をお勧めいたします。